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ぶどう膜炎

 「目の充血」「まぶしい」「目が痛い」「視力低下」「飛蚊症(蚊や糸くずが飛んでいるように見える症状)」「目がかすむ」「物が小さく見える」などの目の症状を自覚したときは、速やかに眼科を受診すべきである。

 この症状、実は「ぶどう膜炎」の代表的な自覚症状。ぶどう膜とは「虹彩」「毛様体」「脈絡膜」の総称。虹彩はカメラに例えると絞りにあたる。毛様体は水晶体の厚みを調節して焦点を合わせる筋肉で、目の血液である房水も産生している。そして、脈絡膜はフイルムにあたる網膜に酸素と栄養を供給する。ぶどう膜炎はぶどう膜に起こる炎症で、炎症が長く続くと視力障害が残ったり、白内障や緑内障を起こしたり、最悪のケースでは失明に結びつく。だから、早期に発見し、的確な治療を受けるのが大切である。

 原因は「感染症」と「非感染症」に大別できる。感染症としては各種のヘルペスウイルス感染、風疹、麻疹、梅毒、結核、そして、エイズもぶどう膜炎から発見されることが多い。犬や猫の回虫が原因のトキソカラ症からぶどう膜炎を起こすこともある。

 非感染症でのぶどう膜炎の30%を占め、ぶどう膜炎の三大原因といわれているのは「ベーチェット病」「サルコイドーシス」「原田病」で、膠原病・自己免疫疾患である。このほか、「強直性脊椎炎」「乾癬」など全身の病気のひとつの症状として起きてくる。

 三大疾患の中では1980年代まではベーチェット病が多かったが、今はサルコイドーシスが最も多い。

 そのサルコイドーシスはラテン語で、“肉の塊ができる病気”という意味で、実際「細胞肉芽腫」が全身のあらゆる臓器にできる病気。細胞肉芽腫は良性で、より頻度の高い臓器は肺のリンパ腺、目、皮膚など。ぶどう膜炎が先に発見され、その原因を調べてサルコイドーシスとわかることがとても多い。5年以内に点眼などの治療で治癒するケースもある。が、逆に悪化すると目では緑内障を起こしたり、視力障害が残ることもある。

 だからこそ、的確な診断、治療が重要。内科的要素の強い病気なので検査は広がりを見せる。「血液検査」「尿検査」「皮内検査」「眼内液・髄液検査」「画像検査」「各診療科の検査と連携」といった具合である。

 ちなみに皮内検査では「ツベルクリン反応」「針テスト」「水痘皮内反応」などが行われる。ツベルクリン反応はベーチェット病、結核性ぶどう膜炎で強陽性となることが多く、サルコイドーシスでは陰性が多い。また、ウイルス疾患の場合にも陰性化することがある。

 それでも原因不明のケースが約30〜40%もあるので、治療はどうしても対症療法になる。

 炎症をとるにはステロイド薬。これには点眼薬、内服薬、点滴とあるが、状況によって使い分けられる。さらに、ぶどう膜炎では虹彩と水晶体が癒着しやすく、瞳孔が動かなくなる。それを防ぐために散瞳薬を1日1〜3回程度使って瞳孔を動かすようにする。

 原因が細菌などの微生物の場合は抗微生物薬、ウイルスならば抗ウイルス薬、かびなどの真菌ならば抗真菌薬を使う。

 ちなみにベーチェット病の治療は、重篤なケースには免疫抑制剤の「シクロスポリン」を使うが、腎・肝障害、中枢神経系障害などの合併症がある。今日では生物学的製剤「レミケード」を使う治療の選択肢ができた。ただし、レミケードにも副作用があるので、眼科医と内科医との連携が必須である。
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熱中症

 夏といえば、「熱中症」があまりに有名。暑いときに外にいる人だけではなく、家の中にいても起きるケースがあるので、十分な注意が必要である。

 その熱中症はどのような病気か、と聞くと、なかなか的確に言える人はいない。熱中症とは体内が水分不足の状態になり、汗を出して体温調節ができず、体がどんどん熱くなって「吐き気」や「めまい」「意識混濁」などの症状を起こし、最悪の場合は死に結びつく急性疾患である。

 症状によってI度からIII度に分けられている。

I度――(軽症)立ちくらみ、体に力が入らない、こむら返りが起きたりする。
II度――(中等症)顔面蒼白、めまい、吐き気、疲労感など。
III度――(重症)立てない、意識障害(意識混濁など)。体温が40度以上にもなる。

II、III度の状態になると、周囲の人はすぐに応急手当てをするとともに、救急車を呼ばなければならない。

 応急手当ては、まず熱中症の人を木陰や室内など、涼しい場所に移す。首や体を締め付けるようなボタンやベルトをはずし、体を冷やすようにする。

 体を冷やすときは、動脈が体の表面近くを通っているところを冷水や氷で冷やすようにするのが最も効果的。自動販売機が近くにあれば、冷えたカンやペットボトルで冷やすのもいい方法である。

 動脈が体の表面近くを通っているのは、左右の首筋、左右の脇の下、左右の脚の付け根の6カ所である。

 それとともに、物が飲めるようなら、スポーツドリンクを、ないときは塩を舐めさせて水を飲ませる。

 このようなことにならないためには、夏は無理をしない、水分を十分に摂取することを心がける必要がある。

 夏にもスポーツをする人々は、次の点をしっかりと守るようにしてもらいたい。

(1)28度以上の日は、外でのスポーツは「警戒」。十分に水分補給をし、休憩タイムもとって行う。
(2)31度以上の日は「厳重警戒」。基本的に持久走のようなスポーツは禁止。他のスポーツも指導者の十分な注意のもとで行う。
(3)外の気温が35度以上になった場合は、スポーツは原則禁止。

 スポーツのみならず、30度を超える夏の暑い日の外出は午前中や夕方にする。外出せざるをえないときは、風通しのよい服、日傘、帽子は忘れずに。そして、スポーツドリンクを携帯しよう。

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大腸ガン

日本のガン死亡者数で最も多いのが肺ガン、次いで胃ガン、そして第3位が大腸ガンである。食生活の欧米化に伴って増えており、2003年が3万8909人、15年ごろには胃ガンを抜くと推測されている。

その大腸ガンの治療には、まずは正確なガンの浸潤度合いをしっかり知ることが重要だ。大腸の壁は、内側から「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜(しょうまく)下層」「漿膜」の5層からなっており、その深達度から大腸ガンの進行度は6段階に分類されている。

最も内側の粘膜内にとどまっているのが「mガン」。ガンが粘膜下層に入っていると「smガン」。「mpガン」は固有筋層に、「ssガン」は漿膜下層にまでガンが入っている。「seガン」になるとガンが漿膜の表面に露出しており、最も重症の「siガン」ではガンが大腸の壁を突き抜けて隣接する臓器に浸潤している。

さらにsmガンは1から3に分けられ、sm1は浸潤度が少ないので早期ガン。sm2、sm3はリンパ節転移もありうるので、リンパ節を取る必要がある。

これらの進行度に合わせて「内視鏡的切除術」「腹腔鏡下切除術」「直腸に対する局所切除術」などの「縮小手術」、もしくは「開腹手術」が行われる。

mガンやsm1ガンであれば、内視鏡を使って内視鏡的切除術を行えば根治できたことになる。施設によっては100倍のみならず、500倍に拡大できる内視鏡を使い、その場で良性、悪性を判断して切除の有無に結びつけている。

sm2ガンやsm3ガンはリンパ節転移があっても、すぐ近くのリンパへの転移がほとんどなので、縮小手術が選択される。縮小手術には直腸に対して行われる「経肛門式」「経仙骨式」、直腸以外で行われる腹腔鏡下切除術がある。直腸の腹腔鏡下切除術はまだ一部の施設でしか行われていない。

腹腔鏡下切除術では腹部の4カ所程度に小さな孔(あな)を開け、モニターを見ながら術者はガン部分を切除する。そして、腹部を6センチ程度切開して切除した部分を取り出す。

腹腔鏡下切除術には「腹部の傷跡が小さい」「回復が早い」「腸の動きが早い」といったメリットはあるが、「手術時間が長い」「ときに大量出血がある」「電気メスで腸に孔が開くことがある」といったデメリットもあるので、専門医と充分に話し合うことが大事である。

今日ではmpガンでも腹腔鏡下切除術を行っている施設もある。が、基本的に進行ガンには開腹手術である。

進行ガンの手術後には、補助的療法として化学療法が行われる。どのような状態かを主治医と納得いくまで話し合い、しっかりとした治療計画を立てていくべきである。
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高血圧

“サイレント・キラー”と呼ばれる病気をご存知だろうか。音もなく忍び寄る殺し屋・高血圧のことである。

これといった自覚症状もないままに、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞、腎不全を引き起こし、最悪のケースでは「死」に結びついてしまう。日本では2500万人が高血圧ともいわれており、糖尿病、痛風、がんなど数多くの生活習慣病の中で、最も多い疾患となっている。

その高血圧の中でも、いま大いに注目されているのが「早朝高血圧」である。病名のとおり早朝に極めて血圧が高くなる病気で、高血圧の中でも、より死に結びつくような疾患を引き起こすケースが多いことがわかってきたからだ。

アメリカの研究報告で心臓突然死がどの時間帯に起きたかという調査がある。それによると突然死のピークは午前8時から午後11時にやってくる。つまり心臓突然死と早朝高血圧が連携を示していると考えられるのである。

さらに、これは科学的根拠を示すデータではないが、心筋梗塞で倒れ、助かった人々16人に取材を行ったことがある。彼らのうち12人は朝に心筋梗塞を起こしていた。典型的なケースでは、朝7時に目覚め、8時30分に出勤のために家を出て、駅まで歩いている途中に発作が起こっていた。

早朝高血圧では、カテコールアミンという血圧を上げるホルモンの活動が高くなるため、血圧が上昇しやすい。問題は、患者の多くは、実際に血圧が高くなっている早朝に血圧を測るのではなく、循環器内科を受診したときだけ血圧を測るため、病気に気づきにくい点だ。そのため専門医では、家庭で朝と晩に血圧を測ってもらい、血圧手帳に記入するよう指導を行っている。

最近では、患者自身が毎日血圧測定を行うことで、早朝高血圧の実態も浮き彫りになってきた。また、体温計、体重計並みに「血圧計」を揃える家庭も増えている。高血圧が気になる人はまずは1週間でもよいので、朝夕しっかり血圧を測ってみることだ。朝の血圧の平均が「上(収縮期血圧)が135ミリHg以上、下(拡張期血圧)が85ミリHg以上」であれば、専門医での治療が必要となる。

治療の中心は、まずは「生活習慣の改善」である。規則正しい生活、適度な運動、塩分を減らした食事、適正飲酒を心がけ、ストレス過多にならないように注意することだ。それでだめな場合は「薬物治療」に入る。早朝血圧の上が200ミリHg近い人は、徹底した血圧コントロールが必要となる。
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うつ病

 日本の自殺者数は9年連続3万人を超え、先進国の中で、それも民主主義国家の中では最も多い。その原因で顕著に見られるのが“中高年のうつ病”である。

 無気力、不眠、気分が落ち込む、自殺願望などの症状を訴え、多くの人は内科を受診して、精神科を紹介されるケースが多い。

“心の風邪”と呼ばれることでもわかるように、自分と関係のない遠い病気ではない。誰に、いつ起きても不思議ではないのが、うつ病である。

  そのうつ病は、脳内の神経伝達物質の中のセロトニンやノルアドレナリンといった物質が不足しているか、セロトニンに反応する神経、セロトニン神経に不調の生じていることがわかっている。

 ただ、セロトニンやノルアドレナリンがなぜ不足する事態が起きるのか、なぜそれらの物質に関係する神経の働きが悪くなったりするのか、そのメカニズムはまだ完全には解明されていない。

 治療は「休養」、そして、「薬物療法」。薬を服用して早い人は約3カ月で“寛解(自覚、他覚症状が一時的、あるいは永続的に軽快した状態)”に達する。

 だが、ここで薬の服用をやめると、約半分の人は再びうつ病の症状が出てきてしまう。たとえ治療がうまく進んでも、社会復帰、いわゆる職場復帰となると、不安は大きい。

 そこで、いま注目されているのが、うつ病患者への“社会復帰支援”である。

 社会復帰支援プログラムでは、「社会復帰(就労)に適応できる生活リズムの適正化」「基礎体力の増進」「コミュニケーション能力の向上など、認知の適正化」を基本に、患者1人ひとりに合った個別プログラムがつくられる。

 そして、「認知行動療法」「運動療法」「食事療法」がその3本柱である。

 これがデイケアで行われる。統合失調症では1940年代に欧米でスタートしたが、うつ病患者もそこに加わるという形だった。が、いま注目されているのは、うつ病患者だけを対象に行われる精神科デイケアである。

 認知行動療法では、自分自身の物事の感じ方のクセを自覚し、それを見直して是正しながら、感情や反応、認識を自分でコントロールする方法と技術を身につけていく。

 具体的には、デイケア時に他の患者たちとひとつのテーマでミーティングを行って、対人関係の適正化ができるようにスタッフたちが支援する。

 運動療法では、グループでウオーキング、瞑想、ストレッチ体操などを行う。運動を行うことで、脳への血流を増やし、脳内のセロトニンの量を増加させるのである。

 さらに、食事内容の改善を行うことにより、抗うつ薬の効き目を高め、再燃・再発を防ぐ大きな効果が期待できる。

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