クリニック

バセドウ病

 有名人の結婚会見は注目を集める。人気歌手・絢香さんの場合も同じ。加えて、絢香さんの場合は、その場で持病の「バセドウ病」を打ち明けたとあって、バセドウ病にも注目が集まった。
 バセドウ病は20、30代の女性に多いという特徴があるが、男性にも患者はいる。男女比は1対4といわれている。「食べても食べてもやせていく」という症状以外に、「動悸」「発汗」「手の震え」「目がパッチリ」「首がふくらむ」などの症状が加わるとバセドウ病が疑われる。

 バセドウ病は甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「甲状腺機能亢進症」の代表疾患。甲状腺はのど仏の下あたりにあり、蝶が羽を広げた形をしている。甲状腺ホルモンは、甲状腺が血液中のヨードを取り込んで分泌する。身体の新陳代謝を促し、脳、心臓、肝臓などを正常に機能させ、汗の量や体温を調節するなどの働きを行う。

 甲状腺ホルモンは血液中で常に一定濃度になるよう、脳の下垂体が指令を出してコントロールしている。下垂体は血液中の甲状腺ホルモン濃度の変化を素早くキャッチし、少ないと甲状腺刺激ホルモン(TSH)を分泌して甲状腺ホルモンを作らせる。逆に多いときにはTSHの分泌は抑えられる。

 しかし、下垂体の指令を受け取る甲状腺の受容体に自己抗体ができる、つまり免疫異常が起きると、指令とは関係なく甲状腺ホルモンが過剰に作られ、常に全力疾走をしているような状態になるので、前述した症状が出てくる。

 それらの症状に気付いたら内分泌内科や内分泌科を受診する。診察は問診、視診、触診から始まる。専門医であれば、症状を聞いて首の腫れや眼球の様子を診る。そして、首の甲状腺を触診すると、ほぼバセドウ病か否かは絞り込める。

 これに脈拍と血圧測定、次に血液検査で甲状腺に関わる「T4(サイロキシン)」「TSH」「TSH受容体抗体」「甲状腺刺激抗体」を調べる。さらに、「放射性ヨード摂取率検査」「超音波(エコー)検査」「CT(コンピュータ断層撮影)検査」を行う。

 結果、バセドウ病と診断されると治療が行われる。「薬物療法」「放射性ヨード療法」「手術療法」の3つの方法があるが、患者は20、30代の女性が多いとあって、首に傷をつけない薬物療法が中心となっている。

 薬物療法で使われるのは「抗甲状腺薬」。この薬を使って甲状腺ホルモンの生成を抑え、患者にとって正常な状態に保つようにする。服用期間は基本的には2〜5年間。その間に“寛解”する人もいるものの、20〜30年と服用し続けるケースもある。

 そして、薬物療法につきものなのが、“副作用”。抗甲状腺薬では、「発疹」や「じんましん」があるが、最も注意が必要なのは、免疫力が低下する「無顆粒球症」。1〜2カ月に一度は受診して検査を行っていくが、副作用に気付いたらすぐに受診するのが大事である。

 放射性ヨード療法は、放射性物質とヨードをくっつけた放射性ヨードのカプセルを服用するもの。放射性ヨードは甲状腺に集まって取り込まれるため、甲状腺細胞はその放射線によって破壊される。

 そして、手術療法は腫れた甲状腺を切除する。手術適用となるのは「薬の副作用の強い人」「甲状腺の腫れが重度の人」など。切除しすぎると機能低下症になることも知っておくべきである。

 どの治療を受けるかは主治医と十分に話し合い、理解し納得したうえで治療を選択すべきである。

【生活習慣のワンポイント】を読む
posted by Dr.クマ at 21:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | バセドウ病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。