腰部脊柱管狭窄症は、背骨にある神経の通り道である「脊柱管」が、腰椎の加齢変性、周囲の靱帯の変性、腰椎分離・すべり症などが原因で圧迫され、脊柱管が狭くなって神経に影響を及ぼす疾患である。
症状には「馬尾型」「神経根型」「混合型」の3つのタイプがある。
馬尾型は、腰部脊柱管の中央を通る神経の馬尾神経を圧迫し、坐骨神経痛ほどの強い痛みはないものの、症状は広範囲にでる。両脚全体がしびれ、脱力感のため脚に力が入りにくい。さらに、頻尿や残尿感、便秘も起こることがある。
脊柱管の左右を走る神経根が圧迫されると強い坐骨神経痛のような痛みが生じる。これが神経根型。神経根は左右に通っているので、圧迫された側の脚に痛みが起こる。
そして、混合型は馬尾型と神経根型が同時に起きているタイプ。
この3つのタイプに共通している症状が「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。しばらく歩くと脚が痛くなって歩けなくなる。が、少し休むとまた歩けるようになる。歩ける距離は重症になるに従って短くなる。
治療は症状、QOL(生活の質)を考えながら行う。保存的治療と手術的治療があり、保存的治療としては理学療法、装具療法、薬物療法、神経ブロックなど。
理学療法には、腰をホットパックや極超短波、レーザーなどで温めて血行を改善する温熱療法をはじめとして、けん引療法やマッサージ療法などがある。
コルセットを使うのが装具療法。コルセットの左右に金属の支柱があり、体がそるのを防ぐので脊柱管が狭くならない。
薬物療法は神経が酸欠状態になるのを防ぐために行うもので、「末梢循環改善薬」などを使うと約30%の患者に、何らかの効果がでる。このほか骨粗鬆症の治療薬も使われる。
神経ブロックには神経根ブロックと硬膜外ブロックがある。ただ、神経ブロックは馬尾神経が圧迫されている馬尾型にはあまり効果がない。
そして、保存的治療に限界を感じたり、QOLが極めて悪いとなると、手術的治療を選択することになる。
手術では「開窓術」「椎弓(ついきゅう)切除術」「脊椎固定術」が行われている。
開窓術は、背中側からアタックする手術。神経を圧迫している骨を部分的に削り取る術式である。
圧迫部分が広い馬尾型の場合は、椎弓を広く切除する椎弓切除術。脊椎固定術では、チタンのネジやロッドを使って体を支えるインスツルメンテーションを用いての固定手術が中核となっている。いずれの手術も、基本は減圧術である。
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