治療は、まず患者に喫煙が「ニコチン依存症」や「習慣依存症」といった病気であることを強く認識してもらうことからスタートする。ここが最大のポイントとなる。
たばこに含まれているニコチンには依存性があり、依存状態のニコチンが切れてくると、ニコチン離脱症状が表れる。いわゆる「ニコチンへの渇望感」「いらいらしたり怒りやすくなる」「欲求不満」「不安感」「集中困難」「徐脈」などの症状である。
だから、たばこを吸って定期的にニコチンを体内に入れないと普通に生活ができない。これがニコチン依存である。日本人の喫煙者の約40%がすでにニコチン依存の状態に陥っている。
もうひとつが習慣依存。これはたばこを吸う行為自体が生活に組み込まれた状態になっているケースである。
心理面や行動面での依存傾向が進み、自分の意思でたばこをやめるコントロールができない状態は、もはや習慣依存である。
まず、どちらのタイプの依存症であるかをはっきりさせたうえで、治療法はそれぞれの依存のタイプに対応したものとなる。ニコチン依存に対しては「ニコチン置換療法」、習慣依存には「行動置換療法」である。
ニコチン置換療法とは、たばこ以外のもので体にニコチンを補給する方法。具体的にはニコチンガムやニコチンパッチを使う。
ニコチンガムに加え、99年にニコチンパッチが登場したことで、ある施設では禁煙成功率が60%から70%にアップした。
ただし、この数字はニコチン置換療法が終了して2カ月後の成功率で、1年後の成功率となると約30%となってしまう。それでも、成功率30%をはじき出せるのは、チャレンジする人が本気で「たばこをやめたい!」と思っているからである。ガムやパッチに対して依存性が生じることはほとんどない。
行動置換療法は「冷たい水を飲む」「氷のかけらを口に含む」「冷たい水で顔を洗う」などといった行動で、喫煙行為をコントロールしていく方法である。
病気に正しく対応すれば必ずたばこはやめられる。それによって、たばこが与える身体への悪影響から逃れることができるのである。
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